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金子きみ / ブラジルの霜

最近読んだ本の中ではかなりおもしろかった一冊。
戦前にブラジルに単独移民し、ファゼンデイロとしてそれなりの成功をした兄を、日本で生活していた2人の妹が訪ねて行くという話。時代設定が移民70周年を直前に控えた昭和50年頃なので、その頃の(日本とブラジル両方の)風俗や流行が随所に出てきて、日本以上に日本的だといわれるコロニアを見事に描いている。(初版は昭和53年で、ほぼリアルタイムで書いている。)
移民小説は数多いが、この本の場合、あくまで主人公は日本に在住している姉妹なので、ブラジルでの出来事を客観的に見ているのが印象に残る。読者もあまり予備知識を必要とせず、主人公の姉妹と共にブラジルの広大さ、奥深さを一緒に味わえるだろう。最後のどんでん返しも本当にありそうな事だ。
作者の金子きみは、自身も北海道開拓入植者の娘として生まれている。廻りにブラジル移民となる人々が多かったそうで、ずっと書いてみたかったテーマではなかったのだろうか。この作品を執筆するにあたりブラジル移民についてかなりリサーチしたと思われ、広大な農園やそこで働くカボクロやカマラーダといった人々の描写などは、目をつぶるとまるで鮮やかな色彩が脳裏に浮かび上がってくるようで、映像作品のような小説だ。
現在、残念ながら絶版となっているようで、興味のある方は図書館や古本屋で探してみて下さい。
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